タトゥーの仕上がりに影響を与える重要な要素のひとつがインクの濃度です。特に、シェーディングやグラデーションを作る際には、インクを適切に薄めることで美しい仕上がりになります。しかし、誤った希釈方法をすると色ムラができたり、発色が悪くなったりするため、正しい薄め方を理解することが大切です。

本記事では、タトゥーインクの正しい薄め方、使用する希釈液の種類、濃度の調整方法、失敗しないためのポイントについて詳しく解説します。

1. タトゥーインクを薄める目的

タトゥーインクを薄める理由は主に以下の3つです。

1-1. シェーディング(ぼかし)を作るため

• タトゥーには「ライニング(輪郭線)」と「シェーディング(ぼかし)」の技法があります。

• シェーディングでは、インクの濃淡を使って立体感を出すため、インクを適度に薄める必要があります。

1-2. 滑らかなグラデーションを作るため

• グラデーションを作る際、濃い色から徐々に薄い色へ移行させるためには、段階的にインクの濃度を調整します。

• 適切に薄めたインクを使うことで、スムーズで自然なグラデーションを表現できます。

1-3. 柔らかい色合いを出すため

• 黒インクやカラーインクをそのまま使うと、色が濃すぎることがあります。

• 淡い色合いやソフトな仕上がりを求める場合は、適度に希釈することで、よりナチュラルな印象になります。

2. タトゥーインクの薄め方

タトゥーインクを薄める際には、適切な希釈液と濃度の調整が重要です。

2-1. 使用する希釈液の種類

タトゥーインクを薄める際は、必ず専用の希釈液(ディリューション)を使用しましょう。

タトゥー専用のディリューション液(ディリューター)

• 最も一般的で、安全にインクを薄めることができる。

• 主要なタトゥーインクメーカー(Dynamic、Intenze、Eternalなど)から専用の希釈液が販売されている。

蒸留水(Distilled Water)

• 一部のアーティストは、蒸留水を使用してインクを薄める。

• ただし、細菌が繁殖しやすいため、必ず滅菌された蒸留水を使用すること。

ウィッチヘーゼル(Witch Hazel)

• 肌に優しい天然の収れん剤で、インクを薄めながら肌への刺激を軽減できる。

• 施術後の赤みや腫れを抑える効果もあるため、敏感肌のクライアントに適している。

グリセリン(Glycerin)

• インクにとろみを加え、発色を良くする効果がある。

• 特に、ブラック&グレーのタトゥーでよく使用される。

⚠ 絶対に使ってはいけないもの!

• 水道水やミネラルウォーターはNG!(雑菌が繁殖する可能性があるため)

• アルコール系の液体はNG!(インクが変質し、肌に悪影響を及ぼす可能性があるため)

3. タトゥーインクの希釈割合(濃度の調整)

インクの濃度は、施術の種類やデザインによって調整する必要があります。

3-1. 濃度の目安

用途インクの割合希釈液の割合
ライニング(輪郭線)100%0%(原液のまま使用)
濃いシェーディング75%25%
中間のシェーディング50%50%
薄いシェーディング25%75%
最も薄いグラデーション10%90%

⚡ ポイント:徐々に薄める!

• 最初から薄すぎると、濃淡のコントロールが難しくなるため、徐々に薄めながら試すのがベスト。

• 小さなインクキャップに少量ずつ薄めたインクを用意しておくと、グラデーションをスムーズに作れる。

3-2. 希釈の方法

1. インクキャップを複数用意する。(例:3〜5段階のグラデーション用)

2. 原液のインクを最初のキャップに入れる。

3. 2つ目のキャップには、インク75%+希釈液25%を入れる。

4. 3つ目のキャップには、インク50%+希釈液50%を入れる。

5. 4つ目のキャップには、インク25%+希釈液75%を入れる。

6. 最後のキャップには、インク10%+希釈液90%を入れる。

この方法で段階的に薄めたインクを準備することで、自然なグラデーションを作ることができます。

4. タトゥーインクを薄める際の注意点

1. インクの保存方法に注意する

• 希釈したインクは長期間保存せず、使い切ることが重要。

• 使い切れない場合は、冷暗所で保存し、できるだけ早く使い切る。

2. 適切なニードルを使用する

• インクが薄くなると、通常より針の動かし方や施術スピードの調整が必要になる。

• ライニング用とシェーディング用で適切な針の種類を選ぶことが大切。

3. インクの流れを確認する

• インクが薄すぎると皮膚への定着が悪くなるため、適度な濃度を保つこと。

• 施術前に人工皮膚やフルーツ(バナナ・オレンジ)でテストすると安心。

まとめ

タトゥーインクの希釈は、シェーディングやグラデーションを美しく仕上げるために欠かせない技術です。

インクを薄める際のポイントまとめ

• 必ず専用の希釈液(ディリューター、蒸留水、ウィッチヘーゼルなど)を使用する

• 用途に応じて、インクの割合を調整する(段階的に薄めるのがポイント)

• 希釈したインクは使い切り、保存には注意する

適切な希釈をマスターすることで、より美しいタトゥーの仕上がりを目指しましょう!

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