タトゥーマシンを使用する際、針の出し幅(ストロークの長さ)は非常に重要な要素です。針の出し幅が適切でないと、インクが正しく定着せず、仕上がりに影響が出るだけでなく、肌へのダメージやトラブルの原因になります。
本記事では、タトゥーマシンの針を何ミリ出すべきか、用途別の適切な設定、針の出し幅の調整方法、失敗を防ぐためのコツなどを詳しく解説します。
1. タトゥーマシンの針の出し幅とは?
タトゥーマシンの針は、どれくらいの長さを皮膚に出すかによって、インクの入り方や仕上がりが変わります。
一般的に、針の出し幅(スティックアウトとも呼ばれる)は1mm〜3.5mmの範囲で調整されます。
• 浅すぎるとインクが定着せず、色が薄くなる
• 深すぎると肌を傷つけすぎたり、インクが滲んでしまう
適切な針の長さを設定することで、スムーズな施術と美しい仕上がりが可能になります。
2. 用途別の針の出し幅の目安
タトゥーの施術方法によって、針の適切な出し幅が異なります。
2-1. ライニング(アウトラインを引く場合)
推奨出し幅:1.5mm〜2.0mm
ライニング(ラインワーク)を行う場合は、針をやや短めに出します。短い方が安定し、正確なラインが描けるためです。
ポイント
• 針が肌に適切に接触し、ぶれずに均一なラインを引けるようにする
• 深く入れすぎると太くなりすぎるため注意
• 電圧は6.5V〜8.5V程度が目安
2-2. シェーディング(ぼかし・グラデーション)
推奨出し幅:2.0mm〜2.5mm
シェーディングでは、針をライニングより少し長めに出し、肌に対して滑らかにインクを入れます。
ポイント
• 針を斜めに当て、優しくスライドさせながら施術する
• インクが濃くなりすぎないよう、軽いタッチで調整
• 電圧は8.0V〜10V程度が適切
2-3. カラーリング(塗りつぶし)
推奨出し幅:2.5mm〜3.5mm
広範囲に色を入れる場合は、針をやや長めに出し、しっかりとインクを入れます。
ポイント
• 針を深めに設定し、安定したストロークで塗る
• ゆっくり一定のスピードで肌を滑らせるようにする
• 電圧は8.5V〜10V程度が目安
2-4. ドットワーク(点描タトゥー)
推奨出し幅:1.0mm〜1.5mm
ドットワークは、細かい点を打つ技術なので、針の出し幅を短くし、インクをコントロールしやすくします。
ポイント
• 軽いタッチで針を素早く動かし、一定の間隔で打つ
• 電圧は6.0V〜7.5V程度が適切
3. 針の出し幅の調整方法
タトゥーマシンの種類によって、針の長さの調整方法が異なります。
3-1. ペン型タトゥーマシンの場合
ペン型マシンでは、グリップ部分を回すことで針の長さを調整できます。
1. グリップを回して針の長さを調整
2. 希望の長さになったらロックする
3-2. コイルマシン・ロータリーマシンの場合
1. チューブ(グリップ)の位置を調整することで針の長さを変更する。
2. 針を軽く動かし、適切な長さを確認する。
4. 針の出し幅を適切に調整するためのポイント
4-1. 針の深さを確認する方法
適切な針の長さになっているか確認する方法は、以下の2つ。
人工皮膚やフルーツでテストする
• 人工皮膚やバナナの皮に針を当て、インクの入り具合を確認する。
指で触って確認する
• 針を出した状態で、指先に軽く当て、長さを確認する(ただし、必ず手袋を着用すること)。
4-2. 針を深くしすぎない
針が深く入りすぎると、以下の問題が発生する。
「ブローアウト」(インクが皮膚の中で広がり、にじんでしまう)
「過度な出血」(傷が深くなりすぎる)
4-3. 施術中のスピードを意識する
• 速すぎるとインクが浅くなり、色が定着しない
• 遅すぎると肌に負担がかかりすぎる
一定のリズムで施術することが重要。
まとめ
タトゥーマシンの針の出し幅は、施術の種類やマシンの種類によって適切な長さが異なります。
用途別の適切な針の出し幅まとめ
• ライニング(アウトライン):1.5mm〜2.0mm
• シェーディング(ぼかし):2.0mm〜2.5mm
• カラーリング(塗りつぶし):2.5mm〜3.5mm
• ドットワーク(点描):1.0mm〜1.5mm
適切な針の長さを設定し、練習を重ねることで、美しい仕上がりを実現できます。特に、初心者はまず人工皮膚やフルーツで練習しながら、自分に合った設定を見つけることをおすすめします!